釣りを再開される方へ 手軽に楽しめる堤防サビキ釣りの始め方
はじめに
かつて釣りの経験をお持ちで、長いブランクを経て釣りを再開しようとお考えの方もいらっしゃるかと存じます。昔とは道具や環境も変わっているのでは、体力的に続けられるかといった不安をお持ちかもしれません。
この記事では、そのような方々に特におすすめしたい「堤防でのサビキ釣り」について、その魅力と基本的な始め方、そして安全に楽しむための注意点をご紹介します。サビキ釣りは比較的簡単な仕掛けで楽しめ、大きな体力を必要としないため、無理なく釣りを再開する第一歩として最適です。
サビキ釣りとはどのような釣りか
サビキ釣りは、小さな魚が集まる習性を利用した釣り方です。「サビキ仕掛け」と呼ばれる、複数の小さな擬餌針(ぎじばり)が付いた仕掛けを使います。通常、この仕掛けの上に「コマセ」と呼ばれる撒きエサを入れるカゴを取り付け、エサを撒いて魚を寄せ、仕掛けの擬餌針に食いつかせるという仕組みです。
主にアジ、イワシ、サバなどの小型回遊魚を狙うのに適しており、魚群に当たれば短時間で多くの魚が釣れる可能性があるため、釣果を得やすい釣り方の一つと言えるでしょう。
なぜ釣りの再開にサビキ釣りがおすすめなのか
サビキ釣りが釣りの再開におすすめできる理由はいくつかあります。
まず、仕掛けが比較的シンプルであることです。複雑な結び方や操作を覚える必要があまりなく、基本的な道具の扱いに慣れればすぐに始めることができます。昔の釣りの経験があれば、竿やリールの基本的な扱いは体が覚えている部分もあるかと存じますので、スムーズに取り組めるでしょう。
次に、大きな体力を必要としないことです。主に堤防から行う釣りであり、重いものを長時間持ち続けたり、広範囲を動き回ったりする場面は少ない傾向にあります。座って釣りができる場所を選べば、さらに体への負担を減らすことも可能です。
また、釣れる魚種が比較的多いことも魅力です。特定の魚種を専門に狙う釣りとは異なり、アジ、イワシ、サバなど、季節や場所によって様々な魚が釣れる可能性があります。釣れる魚がいれば、釣りの楽しさを再び実感しやすいでしょう。
堤防サビキ釣りに必要な基本的な道具
現代の釣具は昔に比べて軽量化され、扱いやすくなっているものが多く存在します。サビキ釣りに必要な基本的な道具は以下の通りです。
- 竿: 磯竿や波止竿と呼ばれるタイプの、長さ4mから5m程度のものが扱いやすいでしょう。仕掛けを投入しやすく、取り込みも比較的楽に行えます。昔のグラスファイバー製の竿に比べ、現代のカーボン製の竿は非常に軽量になっています。
- リール: 2500番から3000番程度の小型スピニングリールが適しています。こちらも昔より軽く、回転性能も向上しています。
- 道糸(ライン): ナイロンラインの2号から3号程度が扱いやすいでしょう。リールのスプールに巻いて使用します。
- サビキ仕掛け: 複数の針が付いた市販のものが便利です。針のサイズや幹糸(みきいと)の太さが異なる様々な種類があります。狙う魚のサイズに合わせて選びますが、最初は汎用性の高い7号から8号程度から試してみるのが良いかもしれません。
- コマセカゴ: 撒きエサを入れるカゴです。仕掛けの上部または下部に取り付けて使用します。
- オモリ: 仕掛けを沈めるために必要です。コマセカゴ一体型のものや、カゴの下に別途取り付けるタイプがあります。重さは使用する竿や仕掛け、潮の流れに合わせて選びますが、5号から10号程度が一般的です。
- ハサミ: 釣れた魚から針を外す際や、糸を切る際に使用します。
- バケツ: 釣れた魚を入れたり、手を洗ったりするのに使います。水汲みバケツがあると便利です。
- クーラーボックス: 釣った魚を持ち帰る場合に鮮度を保つために必要です。氷や保冷剤と一緒に入れます。
基本的な仕掛けのセット方法
基本的なサビキ仕掛けのセット方法を説明します。市販のサビキ仕掛けのパッケージに図解が載っている場合が多いので、そちらも参考にしてください。
- リールに巻かれた道糸の先端を、竿のガイド(糸を通す輪)にすべて通します。
- 竿の先端(竿先)まで道糸を通したら、その先端にサビキ仕掛けの上端を結びます。結び方は、簡単なユニノットやクリンチノットなどが一般的です。糸と金具をしっかり結ぶことが重要です。
- サビキ仕掛けの下端に、コマセカゴとオモリを取り付けます。カゴとオモリが一体になっている場合は、それを直接結びつけます。カゴとオモリが分かれている場合は、まずカゴを結び、その下にオモリを結びつけるか、カゴの下にオモリを取り付けるためのスナップなどを介して接続します。
- 全体の仕掛けが完成したら、絡まっていないか確認します。
昔の釣りを知る方は、道糸と仕掛けを直接結ぶのが新鮮かもしれません。現代の市販仕掛けは、パッケージから出してそのまま使えるように工夫されています。
堤防でのサビキ釣りの基本的な手順
- 釣り場の選定と準備: 足場が良く、安全に釣りができる堤防を選びます。周囲に他の釣り人がいないか、迷惑にならないかを確認し、釣座を構えます。荷物を整理し、すぐに手が届く場所に置きます。座って釣りたい場合は、座れる場所や椅子を用意します。
- コマセの準備: 撒きエサであるコマセを用意します。アミエビなどが一般的です。解凍が必要なものは事前に準備しておきます。
- 仕掛けへのコマセ詰め: コマセカゴにコマセを詰めます。詰めすぎると出にくい場合があるため、適量に調整します。
- 仕掛けの投入: 周囲に人がいないか確認し、ゆっくりと仕掛けを海に投入します。遠投する必要はありません。堤防の際や、魚が見える範囲に落とすだけでも十分に釣れます。
- 誘い: 仕掛けを投入したら、竿を軽く上下にしゃくる動作を繰り返します。これによりカゴからコマセが海中に放出され、魚を寄せます。定期的にコマセを補充します。
- アタリ: 魚が針に食いつくと、竿先がピクピクと揺れたり、大きく曲がったりする「アタリ」があります。サビキ釣りでは、一度に複数匹かかることも少なくありません。
- 取り込み: アタリがあれば、リールを巻いて魚を取り込みます。慌てずに一定の速度で巻き上げることが大切です。抜き上げる際には、周囲に人がいないか、電線などの障害物がないかを確認してください。
- 針外しと魚の扱い: 釣れた魚はハサミなどで針を外します。素手で触ると怪我をする場合や、魚にダメージを与える場合があります。持ち帰る場合は、適切に処理してクーラーボックスに入れます。リリースする場合は、魚に触れる時間を最小限にし、優しく海に戻してあげましょう。
体力に配慮してサビキ釣りを楽しむために
サビキ釣りは比較的体力を消耗しにくい釣りですが、さらに無理なく楽しむための工夫があります。
- 座って釣る: 堤防の安全な場所に椅子を持ち込むか、座れるスペースを見つけて釣りをすることで、足腰への負担を減らせます。
- 短時間釣行: 長時間集中力を保つのが難しい場合や、疲労が心配な場合は、朝まずめや夕まずめといった魚が活発に活動する時間帯を狙って、短時間で切り上げる計画を立てるのも良いでしょう。
- 道具の軽量化: 現代の軽量な竿やリールを選ぶことで、操作時の腕への負担を軽減できます。
- 十分な休憩: 疲れを感じたら無理せず休憩を取りましょう。水分補給も忘れずに行ってください。
安全に釣りを楽しむための注意点
釣りを安全に楽しむことは最も重要です。特にブランクがある場合は、昔とは環境が変わっている可能性も考慮し、以下の点に注意してください。
- ライフジャケットの着用: 万が一の落水に備え、必ずライフジャケットを着用してください。昔はあまり一般的ではなかったかもしれませんが、現代では多くの釣り場で着用が推奨、あるいは義務付けられています。体型に合ったものを選び、正しく装着します。
- 足場の確認: 堤防は滑りやすい場合や、不安定な場所がある場合があります。足元をよく確認し、安全な場所で釣りを行ってください。立ち入り禁止区域には絶対に入らないでください。
- 天候と体調管理: 急な天候の変化(雷、強風など)に注意し、悪天候が予想される場合は釣行を中止する勇気も必要です。また、ご自身の体調と相談し、無理のない範囲で釣りを楽しんでください。熱中症や低体温症にも十分な注意が必要です。
- 周囲への配慮: 他の釣り人や通行人がいないか確認し、仕掛けを投げたり、魚を取り込んだりする際に迷惑をかけないよう注意してください。
まとめ
堤防でのサビキ釣りは、釣りを再開される方にとって、手軽で体力的な負担も少なく、釣りの楽しさを再び味わいやすい魅力的な釣り方です。現代の道具の進化も味方につければ、より快適に楽しめるでしょう。
この記事でご紹介した基本的な始め方や注意点を参考に、ぜひ堤防サビキ釣りに挑戦してみてください。何よりも安全を第一に考え、無理なく、そして楽しく釣りの時間を過ごされることを願っております。