体力に自信がなくても大丈夫 堤防ちょい投げ釣り入門
はじめに:ブランクがあっても無理なく楽しめるちょい投げ釣り
かつて釣りを楽しまれていた方の中には、長年のブランクを経て「また釣りを始めてみたいけれど、体力に自信がない」「昔の道具と今はどう違うのだろうか」といった不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。最新の釣り具や釣り方に戸惑いを感じることもあるでしょう。
しかし、現代の釣りには、体への負担が少なく、手軽に始められる方法がたくさんあります。その一つが、堤防などから気軽に楽しめる「ちょい投げ釣り」です。この記事では、体力を気にすることなく釣りを再開したいとお考えの方に向けて、ちょい投げ釣りの基本的な始め方や必要な道具、そして安全に楽しむためのポイントを丁寧にご紹介いたします。無理なく、ご自身のペースで釣りの再開を楽しんでいただくための一歩となれば幸いです。
ちょい投げ釣りとはどのような釣りか
ちょい投げ釣りとは、文字通り、遠くに飛ばすのではなく、軽く「ちょい」と投げるスタイルの釣りを指します。主に堤防や港、砂浜などから行われ、比較的手軽な道具で様々な魚を狙うことができます。
この釣り方が数十年ぶりに釣りを再開される方や、体力に不安がある方におすすめできる理由はいくつかあります。まず、重いオモリを遠くまで投げる必要がないため、腕や腰への負担が少ない点が挙げられます。また、道具もコンパクトで扱いやすいものが多く、準備や片付けも比較的簡単に行えます。昔ながらのシンプルな釣り方に近い感覚で始められる点も、ブランクのある方にとって安心材料となるでしょう。
ちょい投げ釣りに必要な基本的な道具の選び方
ちょい投げ釣りを始めるにあたり、昔の道具とは少し変わってきている部分もありますが、基本的な考え方は変わりません。ここでは、体力への負担も考慮した道具選びのポイントをご紹介します。
釣り竿(ロッド)
ちょい投げ釣りには、長さが2メートルから3メートル程度の扱いやすい竿が適しています。昔の竿と比べると、現代の竿はより軽量で丈夫な素材で作られているものが増えています。あまり硬すぎない、しなやかな竿を選ぶと、軽い仕掛けでも投げやすく、魚のアタリも感じ取りやすくなります。コンパクトに収納できる振り出し竿や、継ぎ竿でも仕舞寸法が短いものを選ぶと、持ち運びも楽になります。
リール
リールは、道糸(ライン)を巻き取るための道具です。ちょい投げ釣りでは、小型から中型のスピニングリールが一般的です。道糸としては、ナイロンラインの2号から3号程度が扱いやすいでしょう。リールに最初からラインが巻かれている「糸付きリール」を選ぶと、準備の手間が省けます。軽い力でスムーズに回せるリールを選ぶと、疲労を感じにくく快適です。
仕掛け
ちょい投げ釣りの仕掛けは非常にシンプルです。主に「オモリ」と「針」がセットになったものを使用します。市販されている「ちょい投げ仕掛けセット」を利用するのが最も簡単で確実です。これらのセットには、天秤(てんびん)という、オモリと針を結ぶ部分がセットされており、道糸に結ぶだけで釣りができるようになっています。オモリの重さは、釣る場所の水深や潮の流れ、竿の硬さに合わせて5号から15号程度を用意しておくと、状況に対応しやすいでしょう。
その他の小物類
- ハサミ: 道糸を切るために必要です。
- ラジオペンチやフックリリーサー: 釣れた魚から針を外す際に使用します。直接魚に触れずに済むため、安全です。
- クーラーボックスやバケツ: 釣れた魚を活かしておいたり、持ち帰ったりするために必要です。
- タオルや雑巾: 手を拭いたり、道具の汚れを拭いたりするのに使います。
- 折りたたみ椅子: 長時間の釣りでも休憩しながら楽しめるように、軽量な折りたたみ椅子があると便利です。
昔の道具で使えるものがあるか確認しつつ、足りないものやより体力負担の少ない新しい道具を揃えるという考え方で良いでしょう。無理に全てを新調する必要はありません。
ちょい投げ釣りの基本的な手順
市販のちょい投げ仕掛けセットを使用する場合の基本的な手順をご紹介します。
- 竿とリールのセット: 竿を伸ばし、リールを竿に取り付けます。
- 道糸を通す: リールから出ている道糸を、竿のガイド(竿についている輪っか)に順番に通していきます。
- 仕掛けを結ぶ: 竿の先端まで道糸を通したら、道糸の先に市販のちょい投げ仕掛けセットを結びます。結び方にはいくつか種類がありますが、釣り具店の店員さんに聞いたり、簡単な結び方を解説した情報源を参考にしたりしてください。セットのパッケージに結び方が記載されている場合もあります。
- エサをつける: 針にエサをつけます。ちょい投げ釣りでは、ゴカイやイソメといった虫エサが一般的ですが、これらが苦手な場合は、オキアミや人工エサ、パワーイソメのような素材を選ぶこともできます。
- キャスト(投げる): 周囲に人がいないか、障害物がないか十分確認し、軽く竿を振って仕掛けを海や川に投げ入れます。遠くまで投げる必要はありません。足元や、届く範囲の少し沖合いで十分です。無理な遠投は思わぬ事故につながる可能性もありますので、軽い力でコントロールできる範囲で投げてください。
- アタリを待つ: 仕掛けが底に着いたら、余分な糸を巻き取り、竿立てに置くか手に持ってアタリを待ちます。魚がエサを食べると、竿先がピクピクと動いたり、大きく曲がったりといったサイン(アタリ)が出ます。
- アワセて巻き上げる: アタリがあったら、竿先を少し持ち上げて針を魚の口にかける動作(アワセ)を行い、リールを巻いて魚を取り込みます。
- 繰り返し: 魚を取り込んだら、再びエサをつけて同様の手順を繰り返します。
体力に合わせたちょい投げ釣りの楽しみ方
体力を気にせず釣りを長く楽しむためには、工夫を取り入れることが大切です。
- 短時間釣行: 最初は短時間から始め、体に負担がかからないようにします。
- 休憩をこまめに: 椅子を持参し、定期的に座って休憩を挟みます。
- 軽い道具を選ぶ: 前述の通り、軽量で操作性の良い道具を選びます。
- 無理な動作を避ける: 重い荷物の運搬や、不安定な場所での釣りは避けます。
安全に釣りを楽しむための注意点
釣りを安全に楽しむことは最も重要です。特に、ブランクがある場合は、昔とは環境やルールが変わっている可能性もありますので、改めて確認が必要です。
- 天気予報の確認: 出かける前に必ず天気予報を確認し、悪天候が予想される場合は釣行を中止または延期します。急な天候の変化にも注意が必要です。
- 釣り場の選定: 足場が良く、安全柵などがある整備された釣り場を選びましょう。危険な場所や立ち入り禁止区域には絶対に近づかないでください。釣り場の状況は常に変化するため、事前に最新の情報を確認することが望ましいです。
- ライフジャケットの着用: 万が一の落水に備え、ライフジャケットは必ず着用してください。最近はデザイン性も高く、動きやすいものが多く販売されています。
- 体調管理: 十分な睡眠をとり、体調が良い時に釣行してください。夏場は熱中症予防のため水分補給をこまめに行い、帽子を着用します。冬場は防寒対策をしっかり行い、体を冷やさないように注意が必要です。
- 単独釣行を避ける: 可能な限り、家族や友人と複数人で釣行する方が安全です。
- 周囲への配慮: 他の釣り人や、釣り場を利用する一般の方々との間隔を適切に取り、迷惑にならないように注意してください。ゴミは必ず持ち帰りましょう。
これらの注意点を守り、無理のない範囲で安全に釣りを楽しんでください。
まとめ:再び釣りの世界へ、無理なく一歩を踏み出そう
数十年という長いブランクがあっても、ちょい投げ釣りは比較的体力を気にせず、気軽に再開できる素晴らしい方法です。最新の道具は昔に比べて軽量化・高性能化が進んでおり、釣り方をサポートしてくれます。
大切なのは、昔のように釣らなければ、というプレッシャーを感じず、ご自身のペースで楽しむことです。釣果よりも、心地よい自然の中で過ごす時間や、魚との駆け引きそのものを楽しむことに焦点を当ててみてはいかがでしょうか。
この記事でご紹介した基本的な情報や安全への配慮を参考に、ぜひ一歩踏み出してみてください。無理のない範囲で、安全に、そして心から釣りの再開を楽しんでいただけることを願っています。